11.22.16:32
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09.15.00:00
メアリ誕2016
メアリさん(の元ネタのアガサ・メアリ・クラリッサ・クリスティ様)お誕生日おめでとうございます。(何十回も書いてますが公式設定ではありませんのであしからず)
去年までのはもうタグでさかのぼってくれよ会場2016
はい、うちの猫も秋になって丸々してきました。
これがやりたかったんですね。ひゃっほーすべすべしております。
首のとこが黒いのは髪です。気づくと腰くらいまで伸びてます。
先週末、ザックとアーシェと一緒にシャーリィのお見舞いついでにささやかなパーティを済ませて、あたしは白い原稿に向かっていた。
誕生日当日だからといって特別なことが起こるのは本やキネマトグラフの中だけだ。皆やることがあるなんてことは珍しいことでもなんでもない。
でも
少しくらいは、ほんの少し寂しく思う位は、いいのではないかしら。
簡単な荷物を持って、部屋に鍵をかけて。
ロンドンの、排煙で薄くすすけた街中を一人、歩く。
たまには凝ったものを作ろう。お菓子を作るのもいいかもしれない。
ナイン・エルムズに行けばまだ行商人がいる時間だ。
布の端で作られた造花の入った籠を持った子供がすれちがいに駆けていく。
「あ…」
+ + + + + + + + + + + + +
ちく ちく ちく
ちく ちく ちく
全くの不意打ちだったのだ。
道端で布を抱えたご婦人が困っていて、
話を聞くと馬車がダメになってしまったらしく…
我ながらお人よし過ぎたと反省している。
それでも譲ってもらった布は良い材質だし、とても安かった。
おまけに綿までつけてもらってしまったし。
黒い布に針を刺し、糸を通す。
手芸は楽しい。
ほんの少し、胸が苦しくなるけれど。
楽しいことを教えてくれた人。ジェーン。
ちく ちく ちく
無心で縫っていると時間がたつのを忘れてしまって、気づけば外は真っ暗になっていた。
ぬいぐるみは粗方完成していた。
人形用のグラスアイは高くて買えなかったけれど、いい具合のボタンがあってよかった。
箱から取り出しつけてみる。
うん、かわいい。
もう一つをつけようと手に取る。
+ + + + + + + + + + + + + +
ちく ちく ちく
ちく ちく ちく
綺麗なボタンだったから、ほかに使うこともあるかもしれないし
あたしはあたしに言い訳しながら余布を縫っていた。
「できた」
片目の猫の顔につけて頭の後ろで縛ってみる。
長さはちょうどいい。
糸で簡単に固定して出来上がり。
「ふふ。ちょっとふてぶてしく見えるかな?」
素直じゃなさそうな黒猫さん
ノックの音
あたしはドアに向かった。
「メアリ!ハッピーバースデー!!」
ドアの向こうにはアーシェとミスタ・ハワードがいた。
ハドソン夫人、ザック、おじさままで。
「え、あれ?どうして?」
「忘れちゃったの?メアリ。今日はメアリの誕生日だよ??」
「そうではなくて、アーシェ。先週パーティはしたし…」
「今日は、お祝いしちゃ、ダメ?」
ああ、アーシェリカ。そんな、ダメなんて言えるはずがないじゃない。
「夕飯まだでしょう?お料理作ったのよ。温めるわね」
ハドソン夫人とアーシェが調理台に向かい。
「プレゼント2重取りかよ」
「じゃあおめぇだけ帰るか?」
「いや帰りませんて…」
「え、あの…」
ザックは頭をかきながら包みを差し出した。
「まぁなんだ。おめでとう。」
「おめでとう」
「おめでとう、メアリ」
「おめでとう!」
「あり、がとう」
ベッドに寝ていた黒猫のぬいぐるみをアーシェがみつけ、眼帯を外そうとしてメアリが止めたり、ザックがレストレイド警部に酔いつぶされたり、今年の誕生日は騒がしく幕を閉じたのだった。
+ + + + + + + + + + + +
夜も更け、冷たい霧が立ち込める道に人影があった。
黒い男と黒い少女。
「出遅れましたね」
「…」
「買い物をしていた時に話しかければよろしかったのに」
「…黙れ…」
男は葉巻を加えると火もつけずに先に歩いて行ってしまう。
少女はヤレヤレと”ひとじみ”た仕草で首を振り後を追うのだった。
Happy Birthday
去年までのはもうタグでさかのぼってくれよ会場2016
はい、うちの猫も秋になって丸々してきました。
これがやりたかったんですね。ひゃっほーすべすべしております。
首のとこが黒いのは髪です。気づくと腰くらいまで伸びてます。
先週末、ザックとアーシェと一緒にシャーリィのお見舞いついでにささやかなパーティを済ませて、あたしは白い原稿に向かっていた。
誕生日当日だからといって特別なことが起こるのは本やキネマトグラフの中だけだ。皆やることがあるなんてことは珍しいことでもなんでもない。
でも
少しくらいは、ほんの少し寂しく思う位は、いいのではないかしら。
簡単な荷物を持って、部屋に鍵をかけて。
ロンドンの、排煙で薄くすすけた街中を一人、歩く。
たまには凝ったものを作ろう。お菓子を作るのもいいかもしれない。
ナイン・エルムズに行けばまだ行商人がいる時間だ。
布の端で作られた造花の入った籠を持った子供がすれちがいに駆けていく。
「あ…」
+ + + + + + + + + + + + +
ちく ちく ちく
ちく ちく ちく
全くの不意打ちだったのだ。
道端で布を抱えたご婦人が困っていて、
話を聞くと馬車がダメになってしまったらしく…
我ながらお人よし過ぎたと反省している。
それでも譲ってもらった布は良い材質だし、とても安かった。
おまけに綿までつけてもらってしまったし。
黒い布に針を刺し、糸を通す。
手芸は楽しい。
ほんの少し、胸が苦しくなるけれど。
楽しいことを教えてくれた人。ジェーン。
ちく ちく ちく
無心で縫っていると時間がたつのを忘れてしまって、気づけば外は真っ暗になっていた。
ぬいぐるみは粗方完成していた。
人形用のグラスアイは高くて買えなかったけれど、いい具合のボタンがあってよかった。
箱から取り出しつけてみる。
うん、かわいい。
もう一つをつけようと手に取る。
+ + + + + + + + + + + + + +
ちく ちく ちく
ちく ちく ちく
綺麗なボタンだったから、ほかに使うこともあるかもしれないし
あたしはあたしに言い訳しながら余布を縫っていた。
「できた」
片目の猫の顔につけて頭の後ろで縛ってみる。
長さはちょうどいい。
糸で簡単に固定して出来上がり。
「ふふ。ちょっとふてぶてしく見えるかな?」
素直じゃなさそうな黒猫さん
ノックの音
あたしはドアに向かった。
「メアリ!ハッピーバースデー!!」
ドアの向こうにはアーシェとミスタ・ハワードがいた。
ハドソン夫人、ザック、おじさままで。
「え、あれ?どうして?」
「忘れちゃったの?メアリ。今日はメアリの誕生日だよ??」
「そうではなくて、アーシェ。先週パーティはしたし…」
「今日は、お祝いしちゃ、ダメ?」
ああ、アーシェリカ。そんな、ダメなんて言えるはずがないじゃない。
「夕飯まだでしょう?お料理作ったのよ。温めるわね」
ハドソン夫人とアーシェが調理台に向かい。
「プレゼント2重取りかよ」
「じゃあおめぇだけ帰るか?」
「いや帰りませんて…」
「え、あの…」
ザックは頭をかきながら包みを差し出した。
「まぁなんだ。おめでとう。」
「おめでとう」
「おめでとう、メアリ」
「おめでとう!」
「あり、がとう」
ベッドに寝ていた黒猫のぬいぐるみをアーシェがみつけ、眼帯を外そうとしてメアリが止めたり、ザックがレストレイド警部に酔いつぶされたり、今年の誕生日は騒がしく幕を閉じたのだった。
+ + + + + + + + + + + +
夜も更け、冷たい霧が立ち込める道に人影があった。
黒い男と黒い少女。
「出遅れましたね」
「…」
「買い物をしていた時に話しかければよろしかったのに」
「…黙れ…」
男は葉巻を加えると火もつけずに先に歩いて行ってしまう。
少女はヤレヤレと”ひとじみ”た仕草で首を振り後を追うのだった。
Happy Birthday
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